太平洋戦争がなければ大日本帝国は健在だった?
■ 誤った主張
※ 結論だけ読めればいいや、という方はこちらへ。この主張のどこが間違っているのかを解説しています。
http://matome.naver.jp/odai/2140808686822828301/2140809642333691503
※ かれは、太平洋戦争があった(A)ならば大日本帝国は崩壊した(B)と主張する(命題)。そして、太平洋戦争がなければ(¬A)ならば大日本帝国は崩壊しない(¬B)と主張する(裏)。
※ つまり、Aという原因はかならずBという結果を生み(A→B)、Aという原因がなければ絶対にBという結果はない(¬A→¬B)、というわけだ。
※ その後の、かれのコメントを見ればわかるが、かれは同時に、大日本帝国は崩壊した(B)ならば太平洋戦争はあった(A)と主張し(逆)、大日本帝国が崩壊しなければ(¬B)ならば太平洋戦争はなかった(¬A)とも考えている(対偶)。
※ 本当だろうか?
※ オレの狙いは、¬AのときもBが成りたちうるし、Aのときも¬Bが成りたちうることを説明すること。…なのだが、どうやら、はるかにそれ以前の場所でつまづきがあったようだ。
■ 議論もどきの開始
※ この喩え、分かりやすいか?w
※ 今日おにぎりが食べられない(B)のは、3日前におにぎりを食べてしまった(A)からだ、とする主張に対し、そのときおにぎりを食べていなくても(¬A)、今日までにおにぎりが腐っていて、けっきょく食べられない(B)かもしれない、ということです(あるいは兄弟に横取りされているかもしれないw)。
※ つまり、Bという結果を生むのに、Aは必要条件ではない。CやD、E、F…といった、べつの原因から、Bという結果が生じることもある。A以外の要因を、排除できていない。
※ 太平洋戦争は、大日本帝国が崩壊するための必要条件ではない。べつの原因で大日本帝国が崩壊することもありうる。
※ 「一般的な戦争」の話ではない、「あの戦争」「太平洋戦争」の話だ、という限定はどこいった?…と思ったとか思わなかったとか。
※ ここで話を一般化したことが、のちに、かれの致命傷になった。
※ かれが、経済的な問題や政権内部の派閥争いなどもイレギュラーな変化に包含される、つまり太平洋戦争がなくても大日本帝国は崩壊しうる、と認めたので、この論争もどきは終了しました。
※ もっとも、かれ自身は、自分で自説にトドメを指したことに気づいてないようで、このあとも得意満面で演説していますが…。
■ 以下、消化試合
『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
■ 裏、逆、対偶、前件否定の虚偽
※ かれの命題「太平洋戦争が起きたから(A)、大日本帝国は崩壊した(B)」が真実であるとする。
※ 対偶はつねに真なので、「大日本帝国が崩壊しなかったならば(¬B)、太平洋戦争は起きていない(¬A)」は成りたつ。
※ しかし命題が真であることは、逆や裏が真であることを保証しない。
※ 逆「大日本帝国が崩壊したのは(B)、太平洋戦争が起きたからだ(A)」は真偽不明。
※ 裏「太平洋戦争が起きなければ(¬A)、大日本帝国は崩壊しなかった(¬B)」は真偽不明。
※ かれは裏もまた真であると主張していたが、その証明はされなかった。そのうち経済状況や内部政争があれば太平洋戦争によらずとも(¬A)、大日本帝国が崩壊する(B)ことを認めた。命題の裏は、かれの主張に反して偽であった。
※ かれは「前件否定の虚偽」を犯している。
※ 「ネコは生き物である。ネコではないので、イヌは生き物ではない」は間違い。イヌも生き物の仲間だから。「リンゴは食べ物である。リンゴではないので、カレーは食べ物ではない」は間違い。カレーも食べ物の仲間だから。
※ 「AならばBである。Aが偽であるとき、Bもまた偽である」という主張は論理が誤っている。これが前件否定の虚偽。
※ 同様に「太平洋戦争が起きれば(A)大日本帝国は崩壊する(B)。太平洋戦争が起きなければ大日本帝国は崩壊しない」も間違っている。経済的な問題や、政権内部の派閥争いなども国家を崩壊させるから。
■ 結論
※ かれが当初、主張していた「太平洋戦争がなければ、大日本帝国は崩壊しない」は、かれ自身が「戦争がなくても、経済的な問題や、政権内部の派閥争いで国家は崩壊しうる」と認めたので、かれの誤りが確定しました。
※ かれの立場に寄りそって、かれの敗因を振りかえると、はじめは「あの戦争」(太平洋戦争)に限定していたものを、なんと、「戦争のようなイレギュラーかつ劇的な変化が無ければ、国家の体制が数百年続くことなど、洋の東西を問わず歴史の示すところ」と一般化したのは、決定的にまずかった。反例の可能性を、わざわざ敵手のために開いてしまっている!
※ 案の定、「国家の体制が変化するのにはさまざまな要因があります。経済的な問題であったり、政権内部の派閥争いなど、歴史上にもいくらも例がある」と指摘され、それを否定できなくなってしまったわけです。
■ なぜか再燃しましたw
※ この状況から、再燃を可能にする要素が見あたらないんだけどなあ…。
※ すっごく程度ひくくて、<(_ _)><(_ _)><(_ _)> ごめんなさい!
■ 論理学のお勉強
—- 改ページ —-
■ 時相論理と因果性
shibacow 芝尾幸一郎 @shibacow
逆裏対偶の話ですが、どうも論理学は時系列の変化を命題として扱うことは出来ないようです。 因果関係を扱うことは、逆裏対偶と言った古典論理ではできないでそうです。 そのため、ロジックの誤りとして、逆裏対偶を使っても、そもそも、命題に因果律が含まれているため、論理学の範囲を超えているようです。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1141829356
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
shibacow 芝尾幸一郎 @shibacow
時系列の変化を扱うためには、別に時相倫理を扱う必要があるそうです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E7%9B%B8%E8%AB%96%E7%90%86 ジョンお姉さんの命題「太平洋戦争が起きたから(A)、大日本帝国は崩壊した(B)」が真実であるとする。ということは、時間的変化を含んでいおり、論理的に誤りと言える分かりません(少なくとも逆裏対偶と言った古典論理の範囲を超えています)。
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
yunishio @yunishio
@shibacow たいへん興味ぶかいです。「時相論理」という言葉がすでに存在しているんですね。
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
shibacow 芝尾幸一郎 @shibacow
はい、論理学(逆裏対偶)を使った下記の議論 「太平洋戦争がなければ大日本帝国は健在だった?」 http://matome.naver.jp/odai/2140808686822828301/2140809642333691503 は因果律を含む命題に、逆裏対偶を使っているので、不適当だったのだろうと思います。
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
shibacow 芝尾幸一郎 @shibacow
あくまで、yunishioさんは、ロジックとして間違っていると主張してましたので、本来使ってはいけないロジックを使っていますので、誤りだと言えます。あくまで、「ロジック」として主張するなら、そのルールは破らないほうが良いです。
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
yunishio @yunishio
@shibacow これはそうだね。重要な指摘。逆とかありえないもんね。
出典 『あの戦争』を回避できていたらその後どうなっていた? – Togetterまとめ
